一由倶楽部15周年 特別記念講演会 小沢一郎先生の御挨拶

小沢一郎先生

今、この時代に直接の戦闘員でな捕虜を捕らえて、斬首するというような残虐な行 為が許されべきでないことでありますけれども、それはそれとして、イスラム国の問 題で非常に明かになったこと、国民がもっとはっきりと現実というものを考えなけれ ばならないということが、この事件で明白に日本人の前に提示されたと思います。
 そのキッカケは、まずは安倍さんが今行く必要もなかったやに思いすけれども、中 東訪問ということを、これは米国を中心とした欧米諸国の支援をねらいとしたもので あると言われておりますけれども、その訪問先でまさにイスラム国と戦っている国の 人たちに対しまして、援助をするということを公然と喋り、またアラブの共通の敵で もありますイスラエルでもって、また同じような主旨の話をしたということが直接の この事件のキッカケでありますけれども、彼のコメントの内容をあらためてみます と、なぜあんな近くまで行って、あの渦中でああいう表現でしか喋れなかったのかと いうことが、ひとつの政治感覚の問題だろうと思います。
 もちろん、欧米に組してどんな犠牲を払ってでも断固、日本はそういうスタンスで やるんだという覚悟の上で喋ったのであれば、それはそれで賛否は別にしていいんで すけれども、その覚悟もなしに、なんとはなしのパフォーマンスで喋って、その結果 慌てふためいているというのは、本当に日本のトップリーダーとして如何なものとい う思いがあるのと同時に、それを通り越して滑稽に思えるくらいであります。
この結果でもって問題になる、提示されているというのは、大きく分けて二つありま す。今、申し上げたように、イスラム国との敵対的関係に日本は国として立ったわけ でありますけれども、
 これは暗に集団的自衛権の行使と共通するものをもっております。いわゆる、有志 連合という言葉をオバマが使っておりますけれども、特定の国と手を組んで、そして 特定の国を相手に戦うということに今、結果としてなっているわけであります。集団 的自衛権というのは、まさに特定の国と協力して日本と直接関係のない紛争に武力の 行使、ないしその支援をするということでありますので、その支援をするということ でありますので、この事態をきちっと認識して、国民はいかがあるべきかということ を考える最大の機会を得たものと私は思っております。
もうひとつの問題は、そういう事実上の立場をはっきりさせたにも関わらず、いろん なエクスキューズにの言い訳をしております。
その最たるものは、「人道支援であって武力の行使はしない」という言い方でありま す。
 これは集団的自衛権のときも、武力行使はしないんだ、後方支援なんだということ であって、あるいは戦闘行為のあるところへは行かないんだというようなことを、一 生懸命、言い訳をして繕っているわけでありますけれども、これに多くのメディアも 国民も、それならば戦争するんじゃないのだから、こっちが当事者になることはない んだね、というような感覚でいると思いますけれども、これは本当に正に戦争といい ますか、紛争の事実を全く知らないというか、無知な幼稚な言い訳であります。
 ご承知のように、直接の武力の行使というのは最終の結果でありまして、戦争の最 大の重要なものは、それはいわゆる物資の補給、後方支援、兵站戦なんです。もっと 突き詰めると、戦争は国力の争いですから、したがって最前線の兵隊さんが鉄砲を撃 つ、大砲を撃つというのが戦争では実はないのです。それを実行して撃ち負かす要因 というのは、まさに国力であり、そして具体的には補給・兵站・後方支援というのが 戦争の最大の本質のものであります。
 日本も明治時代に日露戦争でロシアと戦うということになったときに、何をしたか というと、鉄砲をいっぱい揃えた、あるいは軍艦を買ったということもありますけれ ども、そのための資金をどうするかということだった。
当時、英国あるいは米国が、対ロシアとの戦いということで、日本に協力してくれま したので、日本の国債を英国・米国に大量に買ってもらって、戦費を調達して、よう やく日露戦争を戦うということができたわけであります。
 そしてご承知のような、陸と海で勝利を経てようやく講和条約ということになった わけですけれども、いずれにしても戦争は、戦費の準備に始まって、前線の将兵に軍 事物資だけではなくして、まずは食糧と医療をきちんと確保する。
 腹が減っては戦はできぬ、ご飯を食べずに戦いをしろと言ったって無理なわけであ りますから、まずは水・食糧を確保するというのが、戦争をする上での最大の要諦で あります。
 先般の日米戦争、太平洋戦争においても、300万以上の人が亡くなったといわれて おりますけれども、米軍の砲火で亡くなった人よりも、餓死、飢え死に、あるいは病 気等で亡くなった人のほうが多かったわけでありまして、南方での島々での玉砕も、 すべて兵站戦が全く続かず、米軍に抑えられて孤立無援の状態で玉砕ということに なった、まさに私自身に近い時代に例があります。
そしてまた歴史を紐解けばナポレオンのロシア遠征も、これまた兵站が続かず、冬の ロシアで自ら敗北してしまいましたし、第二次世界単線のヒトラーものロシア侵攻 も、これも同様に兵站戦がつつかず、冬将軍で自ら敗北してしまった。ずっと歴史的 事実を考えれば、当然のことであります。
 従いまして、後方支援だから戦争に自分たちは関係していませんよ、当事者ではあ りませんよ。人道支援だから関係ないんですよというような言い訳が、全く通用しな いという現実が今日の人質の問題だろうと思います。
要するに、安倍さんはイスラム国と戦っているそういう人たちへの支援だと言ってい るわけですから、彼らにしてみれば、敵を力づける、助ける行為でありますから、そ れが鉄砲や弾薬であるかどうかではない。
 相手を元気づける行為、物心両面の行為が要するに敵対行為であり、今言ったよう に戦争の基本のところなのです。
ですから、そういう意味において、本当に私はこの機会に犠牲者となったかどうかは まだわかりませんけれど、こういうもんだが発生した時点で、私は考えるべきことだ とあります。
 申し上げましたように、米英の側に立って、どんな犠牲があろうが断固戦うんだと いう姿勢をとるのか、あるいは、本当にそうでないよりよき方法をとるのかという選 択。
 そのよりよき方法といっておりますのは、国連を通じた紛争の解決ということであ ります。
従いまして、今度のときも安倍さんがあっちへ訪問して、イスラムと戦っている人た ちに援助するなんて余計なことを言わず、本当に人道支援ならば、黙って国連に拠出 していればいいだけの話でありまして、そういう意味で私は国連、要するに特定の国 ではなくて、全世界のみなさんの合意とその意思によって、日本はそれに、もちろん 積極的に参加するということであったならば、無用の敵対関係をつくることはない と、私はそう思っております。
 したがって、そもそもの紛争に対する日本の姿勢はどうあるべきか、という問題で す。
国連をあくまで中心としてやるので、特定の国と組んで日本と直接関係のない紛争に 参加することはないという、どちらを選ぶのかという問題が、一番の根本としてまず 日本人が判断しなくてはならないことだと思います。
 それから、もうひとつは人道支援だから私は当事者でないのよというような、子ど ものママゴトみたいな論理は通用しない。そして戦争の最大の重要事項というのは、 まさに国力であり、その物資の補給、後方支援、兵站戦そのものが戦争の最大のもの なんだ、ということをしっかりと理解をすること。
 この二点が今回の事件において国民がしっかりと現実と向かい合って結論を下さな ければならない。そういうことではないかなと思っております。
 いずれにしても、このような明確な信念と考え方と姿勢を持たずにいる政府を国民 が頂いているということは、大変不幸なことであると思いますし、ただそのような政 府を国民が選んでいるということが、また大変な問題だと思っております。私どもと しては、今回はイスラム国云々の問題でありますが、もっともっと不安定な要因があ ります。
中国や朝鮮半島の問題もありますし、また石油価格の下落はロシアの国力を削いでい る。
それは結果として、外へ向かってのプーチン政権の強引な行動に出るであろうと予測 されますから、ウクライナでは戦闘が激化しておりますし、イスラム国のあの武器は 一体どこから来るのか、非常に近代的な装備をしていると、ロシアが安く売っている のではないかという噂さえありますが、それはわかりませんが、いずれにしてもロシ アの問題もありますし、そういったことで非常に同時に経済も不安定。アベノミクス の掛け声とは裏腹に、日本の経済も徐々に徐々に悪くなっており、ものすごくいいと ころと、大多数の芳しくないところの格差が広がっていく。  こういう状況です し、EUもなんとなく危ない。ギリシャの総選挙がありますが、これでもしEU脱退みた いな話になるとまた大混乱になるというような問題もあります。
 したがって、日本は早く、自分たち自身で政府を選び、その政府がしっかりとした 方針を持って日本の舵取りをするということにしなければならない。
 私もそのために、もう一度、全力で頑張って行きたいと思っているところでありま す。
どうか今年一年もまた、皆様のご指導とご支援を賜りますようにお願いを申し上げま すと同時に、皆様のご多幸をお祈りしましてご挨拶といたします。
 有難うごさいました。